節税効果は?いつ会社にすればいいの?個人事業主が法人成りする前に知っておきたいこと

個人事業主として事業を営む皆様、「そろそろ法人成りした方が良いのかな?」と考え始めたことはありませんか?

事業が軌道に乗って売上が伸びてくると、税金や社会保険料の負担、今後の事業展開など、様々なことが気になってくるものです。

しかし、法人成りは誰しもが必ずした方が良いというものではありません。タイミングを間違えると、かえって損をしてしまう可能性も…。

そこで今回は、税理士の視点から、個人事業主が法人成りすべきタイミングについて解説します。

あなたの状況に合わせた最適なタイミングを見つける一助となれば嬉しいです。

節税

やはり節税は法人成りを考えるきっかけとして最も関心が高いのではないでしょうか。

所得税や法人税の対象となる所得の面と、消費税の納税が始まる売上の面から解説します。

所得は500万円がライン

個人事業主の所得に対して課税される税金は所得税・住民税・事業税があります。

所得税は累進税率となっているので所得が多ければ多いほど高い税率で課税されます。

国税庁 所得税の税率

住民税は課税所得に対して10%の税金が課されます。

一関市 市民税について

事業税は所得税で認められている青色申告特別控除や所得控除は控除されませんが290万円の事業主控除があります。

これらを加味した課税所得に対して5%(一部の事業については3%、4%)課税されます。

岩手県 個人の事業税

これらの個人事業を行う際にかかってくる税金の実効税率は課税所得200万だと約15%、所得が増えるにつれ課税所得900万円だと約30%近くになってきます。

一方、一関市で法人を設立した場合の法人の実効税率は約24%(所得800万以下の場合)となっています。

分岐点は課税所得500万円あたりで所得税等>法人税等となり法人成りのメリットが出てきます。

さらに事業主へ役員報酬を払うことがで給与所得控除がとれますのでさらに節税メリットは大きくなります。

ただし役員報酬の中には経費として認識されないものもありますので気を付けましょう。

売上は1000万円が分かれ目

2年前の課税売上が1000万円以上であると消費税の納税義務が生じます。

法人成りすると資本金1000万円未満などを満たす必要がありますが、原則として2年間消費税の納税義務が免除されます。

課税売上高が1000万円以上となった年の翌年は法人成りを検討してもよいでしょう。

社会保険は従業員が5名を超えるかどうか

個人事業主でも常時雇用している従業員が5名超であれば社会保険へ加入しているので、社会保険料の負担をされていると思います。

この場合は法人成りしたとしても追加の負担は役員自身の社会保険増加分となります。

一方で従業員が5名以下の個人事業主の社会保険加入は任意となります。

法人は社会保険への加入が義務付けされますので従業員に係る社会保険料の1/2が追加コストとなります。

社会保険料の負担は時として所得税などよりも大きくなるため、常時雇用する従業員数が5名を超えそうになるかどうかも法人成りのきっかけになり得るでしょう。

大きな投資をして損失が出そうだが長期で回収できそうな場合

事業をスケールさせる際に広告費を大規模にかけるなど一時的に損失が大きくなる場合があります。

その後数年間で損失を補填する見通しが立っているが、3年で回収しきれそうもない場合は法人成りを検討しましょう。

所得税では青色純損失の繰越が認めれていますがその期間は3年間となっています。

一方法人は10年間にわたって損失を繰り越せ、その後に発生した利益と相殺することができますので、法人を設立したうえで損失を発生させた方がメリットが大きくなります。

信用力の増加

一般的に法人化すると社会的な信用力は増加すると言われています。

これは法人が組織として事業を運営していると認識され、商品やサービスの品質、アフターフォローなどがしっかりしていると期待されているからではないでしょうか。

採用

求人募集の際には個人事業よりも法人形態の募集が好まれる傾向が強いです。

社会保険を条件に求人を検索している方も少なくないので法人化して社会保険に加入することは採用面でのメリットになるでしょう。

会社組織の方が福利厚生がしっかりしているというイメージもあるのかもしれません。

営業面

ある程度の規模の企業になると取引先を法人に限定していることがあります。

法人が廃業する場合は解散登記や清算登記が必要なため、個人事業よりも事業の継続性が高いといえます。

そのため取引先とは長い付き合いをしたい企業としては個人事業主よりも法人を優先するのもうなずけます。

その会社と取引をしたい場合は法人化は必須となりますし、さらにその会社と取引することで自社の信用力が高まることもあるでしょう。

融資

金融機関などから借入を行う際に法人の方が借りやすくなるから有利ということも言われますが少し違うかなと思っています。

借入の審査の際に重視されるのは事業の収益性であり回収可能性があるかどうかだと思います。

個人事業の場合でも魅力的な事業を行っていて返済余力がある場合は法人と遜色ない信用力があると言えます。

しかし前述のように取引先の多さや従業員の数が多いなど大規模に事業を展開しやすい法人組織だと結果的に借入枠も大きくとられるようです。

法人成りしない方がよいケース

一方法人成りしない方がよいケースもあります。

所得税の優遇がなくなってしまう場合

所得税で下記のような優遇税制を受けられている場合はその優遇措置を放棄することとなり、社会保険料などの追加負担がでてきますので節税メリットは薄くなります。

  • 漫画家や漁業関係者などが平均課税の適用を受けている場合
  • 林業を営んでいる個人事業主で山林所得課税の適用を受けている場合
  • 上場株式の譲渡所得や配当所得が主収入で申告不要を選択している場合

これらに当てはまる場合などは所得税が低く抑えられているケースが多く、法人成りすると税金や社会保険料の負担が増えてしまうことがあります。

個人事業時代に受けていた補助金を返還しなければいけなくなる場合

補助金の中には一定期間内の譲渡に対して補助金の一部返還を求めるものがあります。

事業用資産を補助金により取得してる場合でその資産を法人に移す場合は注意が必要です。

どういった場合に補助金の返還が不要になるか事前に補助事業者に確認をしましょう。

まとめ

節税を目的に法人化することが多いですが社会保険料や法人独自の運営コストが生じることもありメリットだけではないので判断が難しくなります。

節税以外の目的を持つことで法人成りがさらに有意義なものになるでしょう。

筒井会計事務所では個人事業主の方の法人成りへのサポートも行っておりますのでお気軽にお問い合わせください。

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