法人税・消費税の予定納税を忘れずに!e-Taxと実務のポイント

法人税や消費税の予定納税は、毎年多くの法人が実務で直面する重要な税務手続きです。

しかし、近年は納付書が送られてこないケースもあり、納付忘れによる延滞税・加算税のリスクも高まっています。

今回は、法人税・消費税の予定納税の基本から、電子申告(e-Tax)実務、そして納付書が送られないケースまで、経営者や経理担当者が押さえるべきポイントをわかりやすく解説します。

予定申告・予定納税とは

予定申告・予定納税とは、法人税や消費税の本税を確定申告で納付する前に、一定の法人が途中で「前払い(中間納付)」を行う制度です。

これは納税者の資金繰りを平準化し、国の税収を安定させる目的で設けられています。

法人税は、原則として事業年度開始後6か月を経過した段階で、前期の税額を基準に予定申告を行い納付します。

消費税も、前課税期間の納税額によって年1回・年3回・年11回と中間申告の回数が決まります。

法人税・消費税共に仮決算を組み、税額を計算する中間申告・納付の制度も選択できますが、今回は前年の税額を基準にする予定納税についての解説になります。

法人税の予定納税

法人税の予定納税(中間申告)は、事業年度が6か月を超え、前事業年度の法人税額(年税額)が20万円を超える法人に義務付けられています。

設立初年度の法人は前事業年度が存在しないため、予定納税の義務はありません。

前事業年度の確定法人税額÷前事業年度の月数×6=予定納税額(100円未満切捨て)

提出・納付期限は事業年度開始の日から6か月を経過した日から2か月以内となっています。

消費税の予定納税

消費税には「国税部分」と「地方税部分(地方消費税)」があります。

消費税率10%の場合、国税部分は7.8%・地方税部分は2.2%に分けられ、国税部分の年税額により翌年の予定納税の有無が決まります。

前課税期間の消費税の年税額が48万円(国税部分)を超える法人が予定納税の義務が生じることになり、前年の納税額に応じて、年1回・年3回・年11回のいずれかの回数で中間申告・納付が求められます。

前課税期間の確定消費税額中間申告回数各回の中間納付額(国税部分):百円未満切捨て
48万円超400万円以下1回前年消費税額 × 6/12
400万円超4,800万円以下3回前年消費税額 × 3/12(各回ごと)
4,800万円超11回前年消費税額 × 1/12(各回ごと)

上記の中間納付額(国税部分)に加え、地方税部分(国税部分の税額×22÷78:百円未満切捨て)を加算した金額が各予定納税額となり、下記の納期限までに申告・納税することになります。

中間申告回数中間申告対象期間納付期限
年1回課税期間開始から6か月間中間申告対象期間末日の翌日から2か月以内
年3回①開始から3か月間
②4か月目~6か月目
③7か月目~9か月目
各中間申告対象期間末日の翌日から2か月以内
年11回課税期間開始から毎月(各1か月ごと)1回目:課税期間開始から2か月経過日から2か月以内
2回目以降:各中間申告対象期間末日の翌日から2か月以内

なお、消費税の課税期間は「事業年度」とは異なる場合があるため、スケジュール管理には特に注意が必要です。

法人税の予定納税の納付書は送られてこない

2024年5月以降、国税庁は電子申告の普及を目的に、e-Taxで申告している法人には法人税の予定申告書・納付書の事前送付を原則廃止しました。

これにより、従来の「納付書が届いたから支払う」という受動的な対応ができなくなっています。

納税者はe-Taxのメッセージボックスを自ら確認し、そこに届く「予定申告のお知らせ」から申告書を作成・納付する必要があります。

納付書が届かないからといって納税義務がなくなるわけではありません。

納付書での納付を希望する場合は、税務署窓口で所定の納付書を受け取ることができますが、コピーや自作用紙は機械による読み取りが行えない場合があるので注意しましょう。

今後は、e-Taxの通知確認をルーチン化し、納付漏れを防ぐ意識改革が求められます。

e-Taxの活用

法人税・消費税の予定申告は、e-Taxの活用が主流となっています。

e-Taxでは、メッセージボックスに格納された「予定申告のお知らせ」から申告書作成画面へ進み、法人名や納付額も自動反映されるため、スムーズに申告が完了し、そのままダイレクト納付も行えます。

電子証明書を利用して送信できるため、郵送や手書き、銀行納付の手間が減り、納付書紛失の心配もありません。

さらに、ダイレクト納付の他にインターネットバンキング、クレジットカード納付など納付方法も多様化しているため、自社に合った方法を選択しましょう。

メッセージボックスの通知を見逃さないよう、メールアドレス登録や定期的なログインを習慣化することが大切です。

予定納税を忘れたとき

予定納税を失念した場合、延滞税や加算税などのペナルティが課されます。

延滞税は納期限の翌日から日割りで発生しますので、納付が遅れるほど負担が増大します。

万一忘れてしまった場合は、できるだけ早く税務署に相談し、納付や追納の手続きを進めましょう。

まとめ

法人税や消費税の予定納税は、制度の正しい理解と計画的な対応が非常に重要です。

特に最近では、自社でスケジュール管理・申告・納付まで一貫して対応する必要があります。

少しでも予定納税の手続きやスケジュールに不安がある場合は、ぜひ当事務所までお気軽にご相談ください。

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