『確定申告、ちょっと遅れるくらい平気でしょ』・・それ、損してます!期限内申告のススメ

毎年の確定申告、ついつい後回しにしてしまいがちですが、期限内に申告した人だけが受けられる特例が多く存在します。
これらの特例を知っておくことで、税金を賢く節約し負担を軽減することができます。
今回は期限内申告でしか享受できない重要な特例について詳しく解説し、そのメリットを最大限に活用する方法をお伝えします。
目次
確定申告の期限
所得税の確定申告期限はその年の翌年2月16日から3月15日となっています。
3月15日が土日祝日だった場合はその翌日が期限となり、コロナ禍や災害発生時には確定申告期限が変わる場合があります。
また還付申告の場合はその年の翌年1月1日から5年間行うことができます。
期限内申告か期限後申告かの判定
確定申告書が期限内に提出されたかどうかは管轄の税務署に提出された日により判定されます。
書面を持参して提出する場合や電子申告の場合は税務署に到達した日ですが、郵送の場合は通信日付によります。
期限内申告かどうかで取り扱いが変わるもの
青色申告特別控除
事業や不動産の貸付を行っている方で青色申告をする場合に55万円又は65万円の特別控除を受けることができるケースがあります。
特にキャッシュアウトを伴わなくても受けられる特例なので節税効果は高いものですが、この特例は期限内申告が要件の一つとなっています。
せっかく帳簿などを備え付けていても、期限を過ぎて申告する場合は特別控除の金額が変更され10万円となってしまいますので注意が必要です。
純損失の繰り戻し還付
こちらも青色申告者で事業や一定規模以上の不動産の貸付を行っている方が対象になる特例です。
事業等の活動により生じた損失の額を他の所得と通算しても引ききれない場合に、前年の青色申告の所得と相殺してすでに納付した所得税を還付してもらいます。
この特例の適用を受けるためには期限内に確定申告書を提出することに加え還付請求書を同時に提出することが必要となります。
もし期限に間に合うことができなかった場合には繰り戻し還付の請求を行うことはできず、青色純損失の繰越控除の適用を受けることしかできません。
ちなみに住民税にはこの繰り戻し還付の規定はありません。
所得税で繰り戻し還付請求を行い、住民税において青色純損失の繰越控除の規定を適用させる場合には、繰越の金額が所得税と異なることとなりますので別途申告が必要になります。
加算税
確定申告の申告期限を徒過して申告した場合、無申告加算税というペナルティが課されることがあります。
申告期限までに申告していれば本来支払わなくてよいものですので節税を考えている方からすると容認できないものでしょう。
その金額は本来納付すべき金額の5%~30%が賦課されます。
ただし以下の要件をすべて満たす場合には無申告加算税はかかりません。
- 期限後申告が申告期限から1か月以内に自主的に行われていること
- 期限後申告に係る所得税を納期限までに全額納付していること
- 過去5年間、無申告加算税・重加算税を賦課されていないこと
- 過去5年間、この規定の適用を受けていないこと
また期限後申告となったことに正当な理由がある場合も加算税が課されません。
正当な理由とは大規模な災害が発生したことや事故や病気により意識がないなどといった納税者に責めが帰さないものを指します。
相続人が未成年者のみであり、後見人が選任されてから確定申告期限まで時間的が余裕がないケースでも準確定申告書の提出が期限を過ぎてしまった場合には正当な理由があると認められていない裁決事例もあることから、正当な理由を認めてもらうのはかなりハードルが高いでしょう。
振替納税
振替納税は申告所得税および個人の消費税につき預貯金口座からの口座引き落としにより納税する方法です。
確定申告期限に間に合わなかった場合は振替納税が行われませんので、納付書を用意して納税しなければならず、金額や延滞日数によっては延滞税も賦課されます。
財産債務調書・国外財産調書
確定申告書とは異なる書類になりますが個人の方が税務署に提出する書類に財産債務調書、国外財産調書というものがあります。
財産債務調書とは下記の要件を満たす方の保有する財産の種類や数量、価額と債務の金額を記載した書類で翌年6月30日までに税務署に提出しなければなりません。
- 退職所得以外の所得金額の合計が2000万円を超え、保有する財産の合計額が3億円以上(金融資産1億円以上)
- 居住者で、保有する財産の合計額が10億円以上
また国外財産調書とは非永住者以外の居住者が5000万円以上の国外財産を保有している場合に、その保有している国外財産の種類・数量、価額を記載した書類をいい、こちらも翌年6月30日までに税務署に提出します。
これらの書類に記載された財産について所得税や相続税の申告漏れが生じた場合に、加算税の金額を5%軽減する特例があります。
しかし期限内に提出されなかった場合や、期限内に提出しているが記載内容に不備があった場合には、逆に加算税が5%加算されますので注意しましょう。
当初申告要件は期限内申告でなくともよい
混同されがちな概念として当初申告要件と期限内申告要件があります。
当初申告要件として代表的な居住用財産を譲渡した場合の特別控除がありますが、この特例は期限内申告でなくとも受けられます。
その年分の確定申告書を提出していない状態であれば、期限後に提出した確定申告書であっても適用を受けられますので間違えないようにしましょう。
まとめ
確定申告の申告期限まで残り少なくなってきました。
申告期限に間に合わないことで本来受けられるはずだった特典が受けられず結果として多くの税金を支払うことになってしまいます。
筒井会計事務所では事前の記帳指導などを通じて、余裕を持った申告ができるようサポートしていますのでお気軽にお問い合わせください。