請求〜入金、時には貸倒れまで。売掛金の経理処理

売掛金って言葉、聞いたことあるけど、何をどう管理するのが正解?って思われてる方、多いんじゃないでしょうか。
実は以外にも、この「売掛金」がきちんと管理できていない会社が多かったりします。
どこにいくらの未入金があるのかわからない…そんな状態にならないように、今回は請求から入金、督促、さらには貸倒処理まで、売掛金をしっかり回すための経理の流れを解説します。
売掛金とは
売掛金とは、商品やサービスを提供したものの、代金はまだ受け取っていない状態の未回収代金のことです。
取引先との信頼関係に基づいて、後日代金を支払ってもらう約束をし、商品を納入したりサービスを提供した際に発生します。
経理の仕事では、この売掛金が生まれたときに「売掛金」という勘定科目を使って帳簿に記録します。
例えば、得意先A社に商品10万円を売り、代金は翌月に入金してもらう約束をした場合の仕訳は以下のようになります。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
売掛金 | 100,000 | 売上 | 100,000 |
これは、「売上が10万円発生したけれど、代金はまだもらっていないので、後で受け取る権利(売掛金)が10万円増えましたよ」という意味です。
売掛金は、代金を受け取るまでは「資産」として扱われます。
入金確認と「消込」作業
請求書を送付したら、次は入金を待つフェーズです。
支払期日が来たら、会社の銀行口座を確認し、請求した金額が入金されているかチェックします。
無事に入金が確認できたら、次は「消込」という作業を行います。
消込とは、「売掛金が回収できた」ことを帳簿に記録し、売掛金をゼロにする作業のことです。
先ほどの得意先A社から10万円の入金があった場合、仕訳は以下のようになります。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
普通預金 | 100,000 | 売掛金 | 100,000 |
この仕訳は、「普通預金が10万円増えましたよ。その理由は、売掛金が回収できたからです」という意味です。
これで、帳簿上の売掛金は回収済みの状態になり、残高がゼロになります。
入金確認と消込は、必ずセットで行うと覚えておきましょう。
残高試算表と補助科目で確認する重要性
企業が取引する取引先は1社だけではなく、さらに日々様々な取引が発生します。
そんな日々の業務でたくさんの売掛金が発生し、入金消込を行ううちに、まれに消込が漏れてしまうことがあります。
そうすると、帳簿上の売掛金残高と実際の未回収金額が合わなくなり、会社の資金繰りを正確に把握できなくなってしまいます。
そこで重要なのが、残高試算表を使った確認作業です。
さらに、この残高試算表をより効果的に使うために補助科目を活用しましょう。
補助科目とは、「売掛金」という大きな勘定科目を、得意先ごとに細かく分類したもので、例えば、得意先A社、B社、C社といった具合に設定します。
こうすることで、残高試算表で会社全体の売掛金の合計金額を見るだけでなく、「得意先A社の売掛金残高はいくらか」といったように、取引先ごとの残高を個別に確認できます。
もし得意先A社からの入金が確認できているのに、残高試算表の補助科目「得意先A社」にまだ残高が残っている場合は、消込ができていないことを意味します。
この方法なら、どこに消込漏れがあるのかが一目で分かり、ミスの早期発見につながります。
また本来は回収しているはずの売掛金が残っているときは督促などの手続きを取らなければならないため、常に確認することが重要です。
未入金があったときの対応方法
もし、支払期日を過ぎても入金がない場合は、落ち着いて現状を確認することが大切です。
まずは、残高試算表の補助科目で未入金となっている得意先をリストアップし、経理処理による間違いがないか確認しましょう。
補助科目の入力間違いによって残高が残っている場合もありますので、自社の経理ミスや確認漏れがないかを先に確認します。
そして、入金されていないことが確認出来たら得意先に状況を確認します。
入金が遅れる理由はさまざまです。
単純な振り込み忘れや、担当者の不在、または請求書の行き違いなど、意外な原因が多いものです。
状況を確認し、必要に応じて請求書を再送したり、新しい支払期日を設けたりし、回収をスムーズに行うように促します。
貸倒れになってしまったら
どんなに注意していても、取引先の経営状況が悪化するなどして、売掛金が回収できなくなることがあります。
これを「貸倒れ」と呼びます。
貸倒れは会社の損失に直結するため、日頃から対策を講じることが重要です。
貸倒れリスクを減らすためには、取引を開始する前に相手の信用情報を確認する「与信管理」が大切です。
また、もし貸倒れが発生してしまった場合は、その売掛金を「貸倒損失」という勘定科目を使って処理します。
例えば、得意先A社の売掛金10万円が回収不能になった場合の仕訳は以下のようになります。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
貸倒損失 | 100,000 | 売掛金 | 100,000 |
この仕訳は、「売掛金が10万円消えてしまった(回収できなかった)ので、その分を損失として計上しました」という意味です。
貸倒れは避けたい事態ですが、万が一に備えて正しい処理方法を覚えておきましょう。
また、この貸倒損失は税務調査でも重点的に確認されることが多いのでその対策も必要です。
まとめ
経理の仕事において、売掛金管理は会社の血液ともいえるお金の流れを管理する、非常に重要な役割を担っています。
売掛金の発生から入金、そして消込までの一連の流れを理解し、残高試算表と補助科目で管理することが重要です。
意図せず、長期間の未回収になってしまわないように日ごろから売掛金の管理を徹底しましょう。