備品にも税金がかかるの?償却資産税の基礎知識とこれからの改正

新年度や確定申告の準備で忙しくなる時期ですが、1月末に期限を迎える償却資産税の申告をご存知でしょうか。
土地や建物だけでなく、事業で使うパソコンや機械にも固定資産税がかかるという話、意外と驚かれる経営者の方も多いようです。
今回は、固定資産税(償却資産)について迷いやすいポイントや、最新の税制改正による変更予定についても触れながら、わかりやすく解説していきます。
償却資産の概要
償却資産は、固定資産税の一種となり、土地や家屋以外の事業のために使う資産に対して課税されます。
毎年1月1日時点での所有者が、その資産が置かれている市町村に対して、1月31日までに申告を行う必要があるのです。
税額は、資産の価格に基づいて計算された課税標準額に、原則として1.4%の税率をかけて算出されます。
納付は、4月、7月、12月、翌年2月の4回に分けて行うのが一般的です。
法人税などが利益に対してかかるのに対し、この税金は資産を所有していること自体にかかるのが特徴といえるでしょう。
そのため、たとえ赤字の年度であっても、資産を保有していれば納税義務が発生することになります。
対象となる資産と間違えやすい項目
課税対象は、構築物、機械装置、工具器具備品など、事業に使われる有形減価償却資産です。
具体的には、工場の機械や事務室の机、パソコンなどが含まれます。
また、すでに減価償却が終わって帳簿上の価値が1円になっている資産や、まだ使っていない未稼働資産、遊休資産も、1月1日時点で所有していれば申告の対象となります。
一方で、自動車税がかかる一般的な自動車や、ソフトウェアのような無形資産は対象外です。
このような対象資産の中でも特に注意したいのが、少額資産の取り扱いです。
10万円未満で全額費用にしたものや、20万円未満で3年一括償却を選んだものは対象外ですが、中小企業の特例を使って30万円未満の資産を即時償却した場合は、国税では費用にできても、償却資産税では課税対象として申告しなければなりません。
国の制度との相違点でいうと、資産取得初年度の計算方法についても違いがあります。
国税が月割で計算するのに対し、償却資産税は取得した月にかかわらず、一律で半年分(1/2)を償却するルールになっています。
他には優遇措置の有無でも違いが出てきます。
国税では認められる圧縮記帳や特別償却、あるいは割増償却といった制度は、償却資産税には原則としてありません。
このように、国税の取り扱いをそのまま流用するだけでは正しい申告ができない場合があるため、二つのルールの違いを意識して別々に管理することが実務上とても重要になります。
家屋と償却資産の区分判定
建物に付随する設備について、家屋として固定資産税がかかるのか、償却資産として申告するのかという判断は非常に迷うところです。
基本的な考え方は、家屋と構造上一体となってその効用を高める設備(一般的な電気や給排水設備など)は家屋に含まれます。
しかし、特定の生産や業務のために設置された設備、例えば工場の動力配線やベルトコンベヤー、立体駐車場の設備などは、家屋ではなく償却資産に分類されるのです。
また、容易に取り外して別の場所に移せるようなものも、家屋には含まれません。
この区分を誤ると、家屋と償却資産の両方で税金が計算される二重課税の原因になりかねません。
新築や改修の際には、業者からの明細を精査し、どれが家屋でどれが設備なのかを適切に分けることが求められます。
免税点
償却資産税には、同一の市区町村内に所有する資産の課税標準額の合計が一定額未満であれば税金がかからない免税点という仕組みがあります。
現在のルールでは、その合計額が150万円未満であれば免税となります。
ただし、150万円未満であっても申告自体は必要とされる自治体が多いので注意が必要です。
先般公表された令和8年度税制改正大綱によれば、この免税点が180万円に引き上げられる方向で調整が進んでいます。
この改正は、令和9年度以後の年度分の固定資産税から適用される予定です。
物価上昇や事務負担の軽減を背景とした見直しですが、これにより課税対象から外れる企業も増えるでしょう。
テナント入居者が設置した内装や造作
ビルや店舗を借りているテナントが、自分の事業のために自費で取り付けた内装や設備については、特有の注意点があります。
もともと民法では建物に付着したものは建物の所有者のものになるのが原則ですが、平成16年度の地方税法改正により借主が取り付けた特定の設備については、借主を所有者とみなして償却資産税を課すことができるようになりました。
つまり事務所の内装や店舗のカウンター、特定の空調設備などは、借りている側が自分の資産として申告し納税しなければならないのです。
建物の持ち主(貸主)が申告するものと思い込んでいると、申告漏れとなって後から指摘を受ける可能性があります。
特に飲食店など内装に多額の投資をしている場合は、免税点の150万円(将来は180万円予定)をすぐに超えてしまうため、正しく管理しておく必要があるでしょう。
まとめ
償却資産税は、申告の内容によって税負担が変わるだけでなく、建物との区分判断など、専門的な知識が求められる場面が少なくありません。
特に改正によって免税点が変わるこれからの時期は、自社の資産状況を今一度見直してみる良い機会と言えます。
当事務所では顧問契約をご検討中の方を対象に初回面談を無料で実施していますので、毎年の申告作業に不安を感じている、あるいは適切な区分ができているか確認したい方は、ぜひお気軽にご連絡ください。


