「あれ?合わない…」を防ぐ!クラウド会計での預金残高の合わせ方

クラウド会計ソフトを導入して、銀行口座との連携で日々の記帳がグッと楽になった経営者の方も多いのではないでしょうか?
しかし、「なぜか預金残高が合わない…」「このズレの原因がわからない」という経験はありませんか?
この”ちょっとしたズレ”が、月末締めや決算時に時間を浪費する大きな原因となることも珍しくありません。
今回はクラウド会計での預金残高の合わせ方について、よくある落とし穴と具体的な解決法を分かりやすく解説します。
目次
よくある原因と解決策
開始残高が違う
意外と多いのが銀行預金の開始時の残高が相違しているケースです。
仕訳の日付を誤入力してしまい残高が狂ってしまったり、月初の開始残高がそもそも間違っている場合もあります。
こういった場合はいくらその月中の取引がきちんと入力されていたとしても残高が合いませんので、残高が相違してしまった時期まで遡って原因を明らかにしましょう。
自動取り込み=完璧ではない
クラウド会計最大の魅力は銀行口座の自動連携機能です。
預金取引が自動で取り込まれ、入力ミスが減って作業時間も大幅短縮されます。
ただし、「自動だから100%正確」ではないことを理解しておきましょう。
よくあるトラブル例:
- 銀行システムの障害で一部明細が取り込まれない
- 月またぎのタイミングで重複取得される
- 会計ソフトのアップデート直後に不具合が発生
解決策: 毎月末に必ず「通帳残高」と「帳簿残高」の突合を行いましょう。たとえ自動連携でも、最終確認は人の目で行うのが鉄則です。
未登録仕訳のチェック:取り込んだだけでは帳簿に反映されない
銀行取引が自動で取り込まれても、それだけでは帳簿に反映されません。
「登録」という最終確認の作業が必要です。
自動取込だけで終わってしまうと帳簿には反映されませんので残高が合わない原因になります。
チェックポイント:
- 「未登録取引一覧」を定期的に確認
- 「仕訳候補」として保留中の取引がないかチェック
- 自動仕訳ルールが正しく適用されているか確認
実務のコツ: 少なくとも週に1回は未登録取引をチェックする習慣をつけましょう。溜め込むと後で大変になります。
二重計上に注意:手入力等と自動取り込みの重複
同じ取引を手入力と自動取り込みの両方で記帳してしまう二重計上は、よくあるミスです。
また意図せず二重仕訳となってしまうケースに
典型例:
- クレジットCard引き落としを仮払金で先に記帳し、後日自動取り込みでも登録
- 現金で支払った取引を預金支払いとして誤登録
- A口座からB口座へ資金移動を行った際にA口座の出金仕訳とB口座の入金仕訳が二重で取り込まれる
- 他ソフトからクラウド会計ソフトへ切り替える際にインポート仕訳と自動取込仕訳が二重登録
防止策:
- どの取引をどの経路で記帳するかルール化する
- 銀行連携、クレジット連携、手入力の役割分担を明確にする
- 定期的に残高試算表で異常値がないかチェックする
- 資金移動の際に使用する勘定科目を用意する
自動取込の対象期間外の取引の入力間違い
よくあるのが会計期間の途中からネットバンキング契約を開始した口座がある場合です。
インターネットバンキングに表示されない期間の取引は口座連携できないので別途入力が必要です。
口座連携が漏れやすいケース:
- 事業開始時などインターネットバンキング口座の準備が間に合わない場合
- 期の途中でインターネットバンキング契約を開始し、インターネットバンキングの期間とそうでない期間が混在している場合
対応方法:
- 自動取込前に何時からの取引が自動取込対象となっているか確認する
- 自動取込前の期間の入力に間違いがないか残高も合わせて確認
まとめ
クラウド会計ソフトは経理業務を劇的に効率化する優れたツールですが、最終的な正確性は人による確認で決まります。
今回ご紹介したポイントを習慣化することで、預金残高のズレに悩むことは大幅に減らせるはずです。
ここがずれると会計処理が前に進まなくなりますので会計処理の基本としてキチンと押さえておきましょう。