日雇い・単発バイトの源泉徴収ガイド:丙欄適用の条件

人手不足の解消として、1日単位のスポットワークや非常勤スタッフの活用は今や珍しくありません。

その際、日雇い賃金として丙欄を適用するケースも出てきます。

しかし、当初の想定と実態がズレていることで、税務調査などで後から多額の徴収不足を指摘されるケースが少なくありません。

今回は、税務調査でチェックされやすい丙欄課税のポイントを、実例を交えて解説します。

丙欄が適用できる「日雇賃金」とは

源泉徴収の丙欄を適用できるのは、日々雇い入れられる者が支払を受ける給与等に該当する場合です。

具体的には、日々雇い入れられる形態で働き、かつ同一の支払者から継続して2か月を超えて給与の支払を受けていないことが要件となります。

見落としやすいのが、雇用されない日があっても継続して雇用しているとみなされる場合があるという点です。

病気・休養・支払者側の公休日・天候による作業都合などで雇用されない日があったとしても、1か月を通じた就業状態が専ら雇用されている者と同等程度であれば、その空白期間を含めて継続して給与の支払を受けているものとして扱われます。

日雇賃金に該当しない場合にはその給与の支払い頻度に応じて、給与所得の源泉徴収税額表の月額表もしくは日額表を使って源泉徴収税額を求めます。

国税庁 税額表の種類と使い方

また、継続雇用を前提としたアルバイトやパートタイマーの方でもあらかじめ定められた雇用契約の期間が2月以内である場合には、その人に支払われる給与等で労働した日又は時間によって算定されるものについては、日額表の丙欄を適用しても大丈夫です。

丙欄適用者の年末調整

年末(12月31日)時点で丙欄として雇用されている人、あるいは単発でその日限りの勤務だった人については、原則として会社は年末調整を行いません。

ただし年の途中でスポットワーク(丙欄)から正社員や継続的なアルバイト(甲欄)へ切り替わった場合は、会社での年末調整が必要になります。

その場合はその年の1月1日から12月31日までにその会社が支払った「丙欄期間の給与」と「甲欄期間の給与」をすべて合計して年末調整することになります。

注意点

雇用期間が2か月を超えた場合

最初は1回きりの手伝いのつもりで丙欄を適用していても、仕事ぶりが良く、結果的に2か月を超えて継続して働くことになる場合があります。

この場合、2か月を超えた日から区分を切り替える必要があります。

扶養控除等申告書の提出があれば「甲欄」、なければ「乙欄」への移行です。

もし切り替えを忘れて丙欄のまま計算し続けていると、税務調査の際に「本来は乙欄で高く徴収すべきだった」と指摘され、会社がその差額分を立て替えて納付するリスクが生じます。

非居住者を雇用する場合

在留資格を持つ外国人など日本国内に住所を持つ方を日雇い・非常勤で採用する場合にも、丙欄・乙欄の区分判定は日本人と同様に適用されます。

ただし、居住者・非居住者の判定によって課税方式が異なり、非居住者に対しては原則として20.42%(租税条約がある場合はそちらが優先されます)の源泉徴収が必要になります。

入国直後のスタッフや短期滞在の方を採用する際は、在留期間や生活の本拠がどこにあるかを確認した上で区分判定を行わなければなりません。

外国人だから丙欄は使えないというわけではありませんが、居住者・非居住者の判定を誤ると、丙欄・乙欄の議論以前に根本的な課税誤りが生じる可能性があります。

税務調査で否認されないための書類整備

税務調査では、雇用契約書、出勤簿、給与台帳などの提出が求められ、雇用契約の実態を確認します。

特定の曜日に定期的に来てもらっているような実態があれば、それは日雇いではなく継続雇用と判断される材料になります。

契約書には期間や勤務条件を明記し、実態がそれに沿っているかを定期的に見直すことが重要です。

まとめ

スポットワークや非常勤スタッフの源泉徴収は、契約の書き方や雇用の実態、さらには住所がどこかによっても税務上のリスクが大きく変わります。

丙欄でいけるだろうという思い込みが、後の税務トラブルにつながることもあります。

雇用形態が多様化する今こそ、自社の源泉徴収区分が適正かどうか、今一度点検してみてください。

当事務所では顧問契約をご検討中の方を対象に、初回面談を無料で実施していますので、実務上の細かな判定やリスク管理でお悩みの際は、ぜひご相談ください。

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