給与とは違う?賞与の源泉徴収税額の計算方法

役員や従業員に賞与(ボーナス)を支給する季節になりました。

社員のモチベーションに関わる重要な賞与ですが、給与とは異なり、源泉徴収する所得税の計算方法が少し特殊であることはご存知でしょうか。

今回はこの賞与の源泉徴収税額について、基本的な内容と注意点を解説していきます。

賞与の源泉徴収の基本的な考え方と計算手順

賞与から源泉徴収する所得税の額は、通常の月々の給与とは計算のロジックが異なります。

月々の給与は「給与所得の源泉徴収税額表(月額表)」を使って計算しますが、賞与の場合は、「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」という専用の速算表を使います。

国税庁 賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表(令和7年分)

具体的な計算手順は以下の通りです。

  1. その従業員の扶養親族等の人数を確認します。
  2. 前月の給与等から社会保険料等を差し引いた額を算出します。
  3. その金額を「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」に当てはめ、賞与の金額に乗ずべき率を求めます。
  4. 賞与から社会保険料等を差し引いた額に、手順3で求めた率を乗じて、源泉徴収税額を算出します。

この計算式を式で表すと以下のようになります。

賞与の源泉徴収税額 = (賞与の額 – 賞与から控除する社会保険料等) ×算出率

経理担当者としては、この手順を頭に入れておくだけでなく、特にステップ1で用いる「前月の給与等」の捉え方が重要になります。まずはこの手順をしっかりと押さえましょう。

扶養親族等の数

月々の給与の源泉徴収と同様に、賞与の源泉徴収税額の計算においても、扶養親族等の数により税額が変わります。

この扶養親族等の数とは、原則として源泉控除対象配偶者と控除対象扶養親族(老人扶養親族や特定扶養親族を含む)の合計数をいい、自分自身や親族等に障害者などがいる場合には一定数を加算します 。

源泉控除対象配偶者とは以下の要件をすべて満たしている配偶者を言います。

  • 給与等の支払を受ける人(従業員本人)と生計を一にしている 。
  • 配偶者が青色事業専従者等ではない 。
  • 従業員本人の合計所得金額の見積額が900万円以下である 。
  • 配偶者の合計所得金額の見積額が95万円以下である 。

また控除対象扶養親族とは扶養親族のうち、年齢が16歳以上の人を言います。

扶養親族とは、従業員本人と生計を一にする親族等(配偶者、青色事業専従者等を除く)で、その年の所得の見積額が58万円以下の人を指します 。

これに加えて、給与の支払いを受ける人が障害者、寡婦、ひとり親、勤労学生に該当する場合や、同一生計配偶者や扶養親族(16歳未満の人を含む)に障害者がいる場合には、それぞれひとりずつ加算されます 。

前月の給与等から社会保険料等を差し引いた金額

次に前月の給与等の金額ですが、これは賞与が支給される月の前月に支払いが確定した給与の金額を指します。

ここでいう給与等には、基本給はもちろん、残業手当や通勤手当など、課税対象となる手当の全てが含まれます。

ただし、非課税となる通勤手当などは含めません。

そして、この前月の給与等から、社会保険料(健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料、雇用保険料)や小規模共済等掛金を控除して計算します。

賞与の金額が前月の給与の10倍を超える場合の特殊な計算方法

原則的な計算方法で賞与の源泉徴収税額を求める際、賞与から社会保険料等を控除した額が、前月の給与等から社会保険料等を控除した額の10倍を超えるケースでは、少し特殊な計算方法が適用されます。

これは月々の給与の金額に比べて高額な賞与が支給された場合などに、本来の年間の所得税額と大きく乖離しないように調整するために設けられています。

賞与の対象期間が6か月以下かそれ以外かで違ってきますが、計算手順を簡略化して説明すると、以下のようになります。

  1. 賞与から社会保険料を引いた金額÷6+前月の給与から社会保険料を引いた金額
  2. 1の金額を月額表に当てはめて税額を算出
  3. 2の税額-前月の給与に対する源泉徴収税額
  4. 3の税額×6=賞与から差し引く源泉徴収税額

また、前月の給与の支払がない場合は次のように計算します。

  1. 賞与から社会保険料を引いた金額÷6
  2. 1の金額を月額表に当てはめて税額を算出
  3. 2の税額×6=賞与から差し引く源泉徴収税額

賞与の対象期間が6月を超える場合はそれぞれ上記の算式の6を12に置き換えて計算します。

実務上の注意点

賞与の源泉徴収計算を正確に行ったとしても、実務上、他にも注意すべき点がいくつかあります。

まず、住民税の取り扱いです。

月々の給与からは、前年の所得に基づいて計算された住民税を天引き(特別徴収)しますが、賞与からは住民税は天引きしません。

次に、源泉所得税の納期限です。

賞与から源泉徴収した所得税は、原則として賞与を支払った月の翌月10日までに税務署に納付しなければなりません。

ただし、給与の支給人員が常時10人未満の会社で「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を提出している場合は、納付が年2回(7月10日と翌年1月20日)にまとめられます。

この特例を適用しているかどうか、納期限を再度確認しておきましょう。

まとめ

今回は、賞与の源泉徴収税額の計算方法について、具体的なステップと注意点を見てきました。

賞与の源泉徴収は、月々の給与の計算とは異なる速算表を使うため注意が必要です。

当事務所では税務顧問契約をご検討されている会社様を対象に、初回面談を無料で実施しておりますのでお気軽にお問い合わせください。

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