建設業などのJV(共同企業体)でインボイスを発行するための必須条件とは?

建設業界などでよく見られるJV(共同企業体)ですが、インボイス制度が始まってから実務上の手続きが少し複雑になりました。
特に任意組合形式で運営している場合、取引先に対して適格請求書を発行するためには、単に自社が登録していれば良いというわけではなく、一定の届出書の提出などの要件をクリアしなければなりません。
今回は、JVを組んで事業を行う際に経理担当者や経営者が押さえておくべきポイントを解説します。
要件
全員が適格請求書発行事業者であること
任意組合等におけるインボイス発行の基本中の基本は、組合員全員が適格請求書発行事業者であることです。
JVを構成する企業の中に、一社でも免税事業者が混ざっていると、原則としてそのJVは適格請求書を発行することができません。
組合員が一体となって事業を行うという性質上、公平性を保つための仕組みといえますので、工事の受注前に、組む相手がしっかりと登録を済ませているかを確認することが求められます。
もし途中で登録を取り消すメンバーが出た場合も全体に影響が及ぶため、事前の契約や確認作業も重要です。
税務署への「届出書」の提出
全員が登録事業者であれば自動的にインボイスが出せるわけではありません。
業務執行組合員が、その業務執行組合員の納税地の所轄税務署長に対して「任意組合等の組合員の全てが適格請求書発行事業者である旨の届出書」を提出する必要があります。
この届出を行って初めて、JVとしての適格請求書の交付が可能になります。
手続きとしては、組合員の氏名や登録番号などを記載した届出書に、任意組合等に係る組合契約の契約書の写しなどを添えて提出する流れとなります。
この届出はJVごとに必要になるため、複数のJVを抱えている企業では管理が煩雑になりがちです。
事業開始に合わせて速やかに動けるよう、社内の事務フローを確立しておきましょう。
誰がインボイスを交付し、誰が保存するのか
実務において「誰がインボイスを相手方に渡すのか」という点も気になるところです。
インボイスは、任意組合等の組合員のうち、誰か一人が代表して交付することができますので、全ての組合員がそれぞれ発行する必要はありません。
インボイスを交付した組合員は、その写しを保存しておく義務がありますので注意が必要です。
また、交付するインボイスには組合員全員の氏名・名称や登録番号を記載することが原則ですが、任意組合の名称及びいずれかの組合員の氏名・名称、登録番号を記載することも認められています。
受け取った取引先側が混乱しないよう、どの組合員が発行主体となるのかを事前に決めておくのが親切でしょう。
適格請求書が出せなくなるケース
JVの運営中にメンバーが入れ替わることも珍しくありませんが、ここにもインボイスの注意点が潜んでいます。
先にも記載しましたが、もし新しく加入した組合員が適格請求書発行事業者でなかった場合、そのJVは該当することとなった日以後の取引について、適格請求書を交付できなくなります。
同様に、既存のメンバーのいずれかが登録を取り消したり、失効したりした場合も同様です。
このような事態が発生したときは、業務執行組合員が速やかに「任意組合等の組合員が適格請求書発行事業者でなくなった旨等の届出書」を税務署に提出しなければなりません。
これを怠ると、取引先に不備のある請求書を渡し続けることになり、相手方の仕入税額控除にも影響を及ぼしてしまいます。
メンバーのステータス変更はJV全体の問題として捉え、常に最新の情報を把握しておくことが求められます。
まとめ
JVのインボイス制度は、メンバー全員の協力や情報共有があって初めて成立するものです。
また、一度登録すれば完結する話ではなく、メンバー全員の登録が継続しているかなど特有の問題にも注意を払わなければなりません。
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